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沈黙の翼 YouTube :日本語(英語字幕付き)

記録が語る日航123便墜落事故の真相 : 総集編

テキスト版


❶ 故障解析 5つの注目点

最初の項目は故障解析の注目点です。
墜落原因の解析にあたって私が注目した点を五つに纏めました。
何れもデータに基づく事実ですが、多くはその核心に報告書が触れなかった点でもあります。順番に追って行きます。

最初の注目点はSR機とLR機は燃料搭載量等で決まる機体重量が異なっても、胴体が共通のため、二つの機体の胴体構造の強度と耐久性は同じという事です。
この事実は極めて重要な要素であり、運航条件と耐久性の比較解析がシンプルになりました。

二番目の注目点はJALはSR機の客室与圧をLR機に合わせ高く設定したことです。 SR機には低い与圧を適用するよう専用の切り替えスイッチが追加されましたが、使用されることはありませんでした。
SR機が羽田~大阪など低い高度を飛行する場合は、機内の与圧高度を地表近くの高度に設定して耳鳴りの抑制など快適性の向上を図ったため、重要な事は全ての路線において飛行中の胴体膨張の程度はSR機もLR機も同じになりました。

この事実から最初の注目点と併せて、SR機とLR機の運用上の相違点は一日当たりの運航回数のみとなりました。

三番目は一日当たりの飛行回数はSR機がLR機の3倍の頻度で運航したという事実です。そのため、SR機の疲労はLR機より急速に進むことになりました。後ほどデータを示します。

四番目はSR機の中で墜落したJA8119には尻もち事故の修理実績があった事実です。後部圧力隔壁が交換修理されましたが、修理対象外であった圧力隔壁の上半分の取付部付近には尻もち事故の変形で生じた歪がそのまま残りました。

加えて、B747の地上走行特性が圧力隔壁の特に上半分外周部での歪の発生に大きく関与したと考えられることを指摘し、SR機は短距離機の中では歪を発生する力の大きさが群を抜いている実態を確認しました。これも後ほどデータを示します。

五番目の注目点は圧力隔壁の上部において胴体外板と圧力隔壁接続部付近の金属疲労破壊によって生じた隙間から、客室内の空気が非与圧部へ流出したと考えた点です。この時隙間はラムネ瓶のビー玉の原理で自己閉塞して空気の流出は止まりましたから、人々はタイムゼロから32分間の間、酸欠にならず意識を保つことができました。

隙間は垂直尾翼が破損した時の変形によって生じたと見ています。
ここで、キーポイントになる隙間と空気流出の発生および流出が止まるという現象をレビューしておきます。

垂直尾翼と胴体の接続部が方向舵を操舵する度に生じる左右の繰り返し変形から疲労破壊を起こして垂直尾翼が破損して飛散したとき、図のA部の材料の層間に小さな隙間が生じましたが、ラムネ瓶のビー玉の働きのように流出は一瞬で止まります。この時その隙間から、客室内空気が漏れ出し、一緒に室内の一部の断熱材も非与圧側に飛散しました。

それは飛行機の真空トイレが内外の空気圧を利用して、瞬時に排出して止まる動作と同じ現象であるといえます。

そして、竺川説による垂直尾翼破壊のエネルギーは外を連続的に流れる風速約155メートルの風であり、0.4気圧の大気中でも1平米当たり約490Kgの風圧に相当する風の力そのものです。

一方、事故調説は圧力隔壁を破って流出した客室内空気の噴出力が後部構造部を破壊したと結論付けていますので、破壊エネルギーの出所の違いが二つの説の決定的な相違点になります。

方向舵を操舵する度に垂直尾翼の取付部付近に曲げと捩じり応力が発生し疲労が蓄積しました。私はタイムゼロまでに方向舵の操舵回数を約100万回と概算しました。 疲労の限界に達した垂直尾翼の付け根部の小破壊から揺らぎを生じ、強大な風力を受けて瞬時に破壊に進展した事は容易に想像できます。

JAL123便の直前に運航した福岡~羽田便のJA8119後部座席に搭乗した男性は、飛行中に天井裏から普段聞こえない不気味なキシミ音があった事を証言し、123便を運休するべきだったという思いを実名で手記に記しています。

報告書にこの重要な証言の記載はありませんが、キシミ音を発する程に構造部材間の剥離と動き代があり、飛行中の後部構造部に揺らぎがあった事は明らかです。